葬儀社は複数社を比較してから選び、葬儀を執り行う時代になりましたが、葬儀のことも何もわからないのに信頼できる葬儀社を探し出すのは、ある意味難問ですよね。
このブログの管理人も体験しましたが、病院から紹介される葬儀社が必ずしも優良な葬儀社とは限りません。ここでは葬儀社を比較して選ぶ方法を3種類紹介します。
葬儀社は四種類に大別されます
葬儀社を選ぶ方法3種類はこの後に紹介するとして、先に4種類の葬儀社の形態を解説します。
葬儀社(葬儀専門業者・葬儀屋)
「葬儀屋さん」と呼ばれるような葬式サービスの専門会社(業者)で、地域密着型の葬儀屋さんもあれば全国展開の大手葬儀社もあり、他には家族葬専門やキリスト教葬儀専門など様々な葬儀社があります。
基本的には365日24時間営業が多く、依頼を受け次第すぐ動ける体制を整えています。葬儀の準備から実際の施行などを受け持ち、葬儀全体をを滞りなく行えるように尽力してくれるのが葬儀社です。
葬儀社のメリット
葬儀社がある地域の事情に詳しいので、自宅に安置した遺体を裏道を通ってゆっくりと遺体に負担を掛けずに運搬したり、必要であれば町内会などへの挨拶も率先してくれるなど、何かと頼れます。
過去にその葬儀社で葬儀を挙げた人から紹介されたのであれば、地元で何年も経営してる地元密着型の任せられる葬儀社である可能性は大きいので、話を聞いても大丈夫という安心感があります。
葬儀社のデメリット
病院に紹介された葬儀社が必ずしも良いとは限らず、遺体を搬送して信頼関係を作ることができたことに乗じて強引に契約を迫ったり、不要な葬儀オプションを勧めることに注意しましょう。
葬儀社が勧める葬儀よりも、余計な追加をしない葬儀仲介業者のパッケージプランの方が安く済む場合もあるので、直接呼んだ葬儀社と仲介業者から紹介された葬儀社の見積もりを比較するべきです。
葬儀仲介会社
インターネットや電話等を通じて葬儀の受注をし、受注した葬儀式の施行は提携している全国各地の葬儀社が担当するという形態の葬儀社紹介業者で、全国一律のサービスを提供できます。
葬儀仲介会社は提携している葬儀社を紹介するだけの役目になりますが、葬儀プランが多く掲載されていて、パソコンやスマートフォンで複数の葬儀社を比較できることが魅力的です。
葬儀仲介業者のメリット
葬儀仲介会社という第三者が、全国各地から喪主遺族の希望に合う葬儀社を紹介してくれる利便性と、葬儀プランが明確な料金体系になっている安心感があります。
自分で葬儀社に依頼するよりも、葬儀仲介会社の葬儀パッケージブランの料金で一切の追加オプションを付けずに葬儀を施行する方が、葬儀費用全体を安く上げられるでしょう。
葬儀仲介業者のデメリット
葬儀仲介業なので自社で葬儀を施行せず、悪く言えば下請け業者に丸投げする葬儀ブローカー的な立場なので、利用者に指定された地域によっては紹介できる葬儀屋がいない場合があります。
一つの葬儀業者が複数の葬儀仲介業者と提携している場合は、実質二重三重価格になってしまうこともあり、また、自分で地域の複数の葬儀業者と交渉できるのであれば葬儀仲介会社は不要です。
互助会(冠婚葬祭互助会)
互助会は相互扶助を目的としており、経済産業省の審査基準を通過すると運営できる事業形態です。冠婚葬祭互助会という名前通り、会員は将来の結婚式や葬儀に備えて毎月お金を積み立てます。
積み立てて貯まったお金は金銭で受け取るのではなく、契約額に応じた葬儀や結婚式などの役務(サービス)で還元されることになります。
互助会のメリット
積立金を完納すると加入者は死亡まで互助会員の権利を保持継続することができ、また、積立金が満額になる前に会員が死亡しても差額を支払うことで満期時と同じ役務提供が受けられます。
仏壇を購入する際の優待や、旅行やレストランなどでの割引があったり、会員の家族にも特典を提供できる互助会があなど、葬儀以外でも利用できる点なども互助会のメリットです。
互助会のデメリット
互助会の積立金は60回~120回の積み立てで15万円~50万円を積み立てるようになっている為、積み立てた金額と実際の葬儀費用との差額については追加料金が発生します。
また互助会は一民間企業なので破綻することもあり、会員の積立金の半額の保全義務があるので集めたお金の全てを経営に使えない為、高額な解約手数料を請求されることもあります。
JAや生協などが運営する葬儀社
組合員に対して葬儀サービスを提供するのがJAや生協の葬儀業態で、喪主遺族の居住地ではなく通夜や葬儀を執り行う地域の農協生協に組合員として所属場合にサービスを受けることが可能です。
また、JAや生協が葬儀を直接葬儀を施行する、祭壇の貸し出しのみ、提携している葬儀社に葬儀を委託するという業態があり、それぞれの協同組合によって実際に採られている形態は異なります。
JA・生協のメリット
協同組合が直接葬儀を施行している場合は、利益追求型の運営ではないので比較的安価な葬儀費用にでき、地域独自の葬儀の風習を理解しているので不都合が生じにくくなるでしょう。
例えばJAの場合、直営の葬儀場や提携の式場もかなり多く、地域性に合わせて幹線道路沿いや駐車場多数の式場も多くなるので、葬儀を執り行う場所や日程の選択肢が増やせます。
JA・生協のデメリット
農協の職員が祭壇の貸し出しを行う様な形態では、単に祭壇の貸し出しをするだけなので葬儀の打ち合わせや司会進行等のサービスは無く、一般的な葬儀のような質は期待できません。
基本的に組合員向けの葬祭サービスなので組合員以外はサービスを受けられず、組合や運営形態によっては、希望の葬儀プランが無いことや、葬儀の細かい希望に対応できないこともあります。
葬儀社を比較する方法3種類
「担当者」「葬儀プラン」「詳細な見積もり」の三種類を比較しましょう。
例えばラーメンの汁跡があるネクタイの担当者が来たら嫌ですし、落とし穴だらけの葬儀プランは後々高額な追加料金が付加されます。また、詳細な見積もりを出せない葬儀社は怪しさを感じますよね。
01.葬儀社の担当者で比較
直接的に葬儀社の比較をするのは無理がありますが、葬儀社の担当者と葬儀の打ち合わせをして見積もり作成をすれば、こんな感じの葬儀社なんだな的なことがわかり、他社と比較しやすくなります。
他社と比較することを嫌がらない
管理人の体験ですが、病院に紹介された葬儀社に深夜の遺体搬送を依頼し、翌午前に再度自宅に招いて葬儀の打ち合わせをしたところ、他葬儀社に相談させない目的もあったのか強引な勧誘をされました。
葬儀の話を聞く前に、最初に他社との比較をする意向であることを伝えた方がいいでしょう。それでも快く話をしてくれる葬儀社なら、葬儀の相談と見積もりをしてもいいでしょう。
死者生者に礼節がある
悪徳葬儀社と善良葬儀社2社から見積もりを取った経験がありますが、悪徳葬儀社の担当者は遺体を安置している和室でいきなり胡坐をかいて商談を始めました。
態度が悪い葬儀社を追い出して次に呼んだ葬儀社は玄関で名刺を出し、和室に通すと遺体の枕元に正座して手を合わせて約一分間の黙祷をし、喪主遺族にお悔やみの言葉をかけてからの葬儀の相談でした。
あなたを担当する葬儀社の社員は「死者と生者に」しっかり礼を尽くしてくれるでしょうか。担当者の最初の所作。これだけでも任せられる葬儀社なのか敬遠すべき葬儀社なのか、比較ができます。
担当者の服装
酷かった葬儀社の担当者が商談に来た時のシャツが皴だらけで、ネクタイに数個のシミが付いていました。何故シャツが皴の原因はわかりませんが、ネクタイは明らかにラーメンの汁だと思います。
一方で良かった葬儀社の担当者はびしっとした3ピースのスーツで、玄関で靴を脱ぐために後ろ向きになった時、膝の後ろに皴が無かったことが印象的でした。
悪徳葬儀社は終始高圧的で強引に迫り葬儀の見本なども見せない30分、善良葬儀社は穏やかで多数の見本があり多くの質問に答え、詳細な見積もりを作る2時間という極端な違いを見せてくれました。
担当者の知識と(技)
体験談で、自宅から斎場まで遺体を搬送するとき、霊柩車でカーナビの指示通りの道を辿ると、幹線道路や大通りを走ることが多くなるので相当目立ちます。ブログ管理人はこれが嫌でした。
ダメ元で葬儀社に相談すると「このあたりの裏道は大体知っているので、斎場までは普通の搬送車で、カーナビには出ない裏道を通ってご遺体を搬送します。」と言われて安心しました。
葬儀社に葬儀の知識と経験があるのは当たり前だと思いますが、葬儀とは直接関係無い部分の知識も豊富な葬儀社であることも、比較対象になるのではないでしょうか。
余談:葬儀社の裏技
余談です。喪主の私は搬送車の助手席に乗って搬送に立ち会ったのですが、曲がりくねる裏道を、棺の中の遺体を傷めないよう緩やかに穏やかに運転する技術は凄かったです。
葬儀社って意外なところで「技」を発揮するんだなぁ、と感心しました。
安く上げることで対応を悪くしない
葬儀会場を、葬儀社グループが所有している斎場ではなく公民館を借りて安くする、祭壇を小さくして費用を浮かせることに極端に反対したり、安くしようとすると態度が悪くなることがあるそうです。
営業成績を下げたくないという気持ちが強引な反対や悪い態度を招くのかもしれませんが、安く上げたいという利用者の気持ちを汲んでくれない葬儀社は困るので、他社から話を聞くのが一番です。
強引な勧誘をしない
ちょっと先に書きましたが、葬儀社の強引な勧誘は管理人も食らった経験があります。
凄い勢いでドバっと喋り捲り、そのままの勢いで三行だけの葬儀見積もりを作り「明後日に火葬場が取れるので(契約を)急いでください」と迫られましたが、冷静な身内に諭されこの葬儀社は断りました。
こんな強引な勧誘はイヤだ
「今契約すれば提示価格の〇割引きにできます」これは元々の提示価格が極端なボッタクリ価格と言っているようなものです。
「早く契約してすぐに葬儀をしないと、遺体預かり日数が増えて預かり料金も高騰します」そもそも葬儀を急ぐ必要はなく、ボッタクリ料金で今すぐ契約するより他葬儀社の良心価格に期待したいですね。
「仏壇も契約すれば葬儀を〇割引します」これも最初の見積金額が高く設定されている例です。落ち着いて他社を呼んで見積もりを比較しましょう。
これらの強引な勧誘をする葬儀社は比較するまでもありません。見限って次の葬儀社を呼んだ方が良いでしょう。
02.葬儀プランで比較
葬儀プランは度の葬儀社も似たようなものに見えますが、細かいところを見ると、当たり前にできそうなところが不足していたりすることがあり、思わぬ追加料金が加算されることがあります。
距離と設定日数に注意
プランで設定されている遺体の搬送距離が短く(例:10kmまで無料など)、どう考えても搬送距離の延長料金が必要になっている。
火葬場が他界の翌日に取れる可能性は低い。安置施設などでの安置日数が1日だけに設定してある葬儀プランの場合、ほぼ確実に安置日数延長料金が掛かる設定。
自宅で安置する場合も、ドライアイスや防臭剤が1日だけのプランは追加費用の発生が前提と言えます。
祭壇費用・棺の費用・骨壺費用
追加費用一切無しプランの場合、葬儀社が言う「祭壇・棺・骨壺をもう少し良くしておきましょうか」的な発言は注意。消費者に無料の範囲で変更できると思わせておきながら実は高額有料の可能性ありです。
式場使用料
プラン内の式場使用料上限金額(税込み)の確認は必須。比較的安い式場を選んだつもりでもプラン内の上限価格との差額が別途請求されます。
火葬費用
地域や施設より火葬料が異なることや、プラン内の火葬料金上限が最初から設定されていなかったり(火葬費用は全額利用者負担)、プラン内の火葬料金負担額との差額が発生することもあります。
有料・無料の範囲や種類
例えば葬儀社が「花祭壇の幅を広げましょうか」と言ったとします。実際の意味は
・花祭壇自体の幅を90cm広げる(生花の増量)→10万円以上の追加
・花祭壇の両側に供花を寄せて、花祭壇が大きくなったように見せる→無料
と言う違いがありますので、有料追加と無料サービスをしっかり確認する必要があります。
強烈な高額オプションを付けられた
他にも、遺体の顔色が悪く汚れているように見えるので湯灌と死化粧を頼んだつもりが、エンバーミングという遺体の衛星保存処置(約20万円)をされてしまったという話もあります。
有料追加を了承したつもりでも、実際いくらの有料なのか確認しましょう。
03.詳細な見積もりを出せるか
詳細な見積もりを出して細かい説明ができるか、複数の葬儀社を比較するのが当たり前時代、これはできなければいけないことでしょう。
管理人の実体験の、酷い葬儀社の見積もり(書)は
葬儀一式〇〇〇万円
飲食品 〇〇万円
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合計〇〇〇万円
と手書きしたメモ(10cm四方)を渡されただけでした。
これが決め手で同席した冷静な身内に諭され、悪徳葬儀社を追い出したのはまた別の話になります。
理想的な見積もり書
こんなに酷い見積書ではなく、ある程度理想的な見積書は(例)
葬祭費用
家族葬プラン
生花祭壇
安置施設使用料
ドライアイス
返礼品
香典返し
会葬お礼品
会葬礼状
斎場等利用料金
式場使用料
火葬料
車両費用
搬送費用(病院からご自宅)
搬送費用(ご自宅から斎場)
搬送費用(斎場から火葬場)
通夜振舞い
軽食等オードブル
精進落とし
懐石料理
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合計金額(税込み)〇〇〇,〇〇〇円
こんな感じではないでしょうか。
葬儀社の比較方法 まとめ
葬儀社は主に四種類があり、数多くの葬儀社を比較して選ぶことが当たり前になりましたが、ネットや電話などではわからない部分もあるので、実際に担当者と話をする必要があります。
そのときに実際に見て比較すべき点が
●葬儀社の担当者の礼節・態度・知識
●葬儀プランの内容と無料・有料の範囲
●詳細な見積もり
の三種類です。
運悪く、態度が悪い・契約を急かす・安くなるはずが見積もりをしてみたら高額になった、など合わない葬儀社に遭ってしまうかもしれません。そのような場合は次の葬儀社に期待しましょう。
故人・喪主・遺族に合う葬儀社に出会って、良き葬儀と言えるような葬儀を執り行えるといいですね。