お別れの会とは
お別れの会とは「お別れ会」「偲ぶ会」とも呼ばれ、葬儀とは別に行う、故人を偲び弔うための会とか集会と言えるもので、決まった形式が無く、宗教色の有無や会の内容・進行などは全て自由に作り込めます。
葬儀からの流れとしては故人が他界した直後に、近親の身内のみを参列者として火葬までをし、後日に故人の多数の関係者や友人などを集めて、寺院、斎場、ホテルやホールなどでお別れの会を開催します。
後日にお別れの会をすることを前提として、先に遺族親族で行う葬儀が密葬です。
ですが密葬をした近親以外にもお別れをしたい知人友人あるいは取引先がたくさんいるので、別日に多人数でお別れするという意図があるため、故人の社会的地位などによってお別れの会のは規模は変化します。
多くは宗教色を無くして社会的な意味を持たせて弔うような形を取るので堅苦しさが無く、十分に時間を取り肩の力を抜いてゆっくり故人とお別れができます。
例えば会社の社長が他界した場合は、会社が葬儀費用を負担してお別れの会や偲ぶ会を主宰します。内容や進行について遺族の意向は多少反映されますが、大部分は会社が決定した方向になるでしょう。
故人の知人友人などが主催するお別れの会は、遺族親族が行った葬儀後、別日ににレストランなどを借りて行うもので、近年では一般の人でもこのような会の開催が増えています。
芸能人や偉大な政治家など有名人著名人や功績者の場合、大人数の参加が予想されるので、相当数が入る会場や建物を借りての挙行になるでしょう。
お別れ会の種類と特徴
お別れ会の種類はかっちり決まったものがありませんが、大きく分ければ「個人主催」「会社主催」「芸能人有名人のお別れの会」の三種類に分かれるのではないでしょうか。
芸能人のお別れの会を解説しても現実的ではないので、ここでは個人主催と会社主催のお別れ会の特徴を紹介します。
個人主催のお別れの会
有名人や芸能人などの訃報で「葬儀は遺族のみで密葬とし、後日お別れの会を行います。」と報道されることがありますが、葬儀の個性化が進んでいる現在、お別れの会は個人でも行われるようになりました。
個人主催のお別れの会は、気心知れたサークルの仲間や趣味習い事などの師範の弟子たちが集まっての開催などがあり、接待などが無いのでゆっくり故人の思い出に浸ることができます。
開催人数は小規模の場合は数人から大規模になると100人以上になり、参列者は故人の友人・故人の従姉弟など遠縁を含めた親戚縁者、趣味の仲間等様々で、使用する会場は自宅、レストランやホテルなどが想定されます。
クラシック奏者を呼んでの生演奏や故人が所属していたバンドが演奏するなどの演出、個性的な場合はロックをテーマにしたり、故人が生前好きだったスポーツや趣味(例:車、花、酒、習い事)など自由な演出が可能です。
会社が主催するお別れの会(社葬)
会社経営者や取締役、大きな功績を残した社員や業務中の事故での殉職者などを対象として、企業が主催する追悼会で、功労者を偲ぶことで供養とすると共に、会社としての今後の方針を内外に示す場です。
厳密な区別は無いのの、お別れの会の場合は社会的な意味を目的としているので宗教色が薄いか全く無く、社葬の場合は本葬として宗教的な意味を持つので、宗教的な儀式を踏んだ内容になることが多くなります。
開催時期は遺族・会社・その他関係者との打ち合わせが必要です。密葬後2週間~2か月のうちに行うことが一般的で、四十九日や一周忌などの節目に合わせて行うこともあります。
会社が社葬やお別れの会を行う場合、会場の確保から当日の式の全てを自社で運営管理するのはほぼ不可能なので、葬儀社や社葬専門会社あるいはホテルの営業などに依頼することになるでしょう。
故人の遺志や会社のイメージ、お別れの会の予算などに合う提案ができる社葬専門会社がすぐに見つかることはなかなか無いので、できれば複数社からの提案の比較が必要です。
また、式場使用料、式場設営費用、祭壇設営費用、当日の会葬礼状・飲食費用・返礼品、など社葬の費用の大部分は経費に算入できますが、戒名料、香典返しなどは損金にできないのでしっかり区別しておきましょう。
招待状を送付する範囲
お別れの会の参加者を余裕を持って収容できる広さのある会場を手配する必要があることと、会食人数、場合によっては返礼品数の予測を立てなければならないので、お別れの会の招待状を送る範囲を決める必要があります。
案内状の返信によって参加人数の予測をすることでお別れの会の規模が決まり、会場費用・演出料金・会食返礼品費用などを総じた葬儀費用の予算が立てられるのです。
個人主催の場合
個人主催の場合、故人の遺族は密葬を営んでいるので除外するとして
・友人知人関係
・会社関係
・趣味やサークル関係
・住まいの近所の人達
・SNSでつながりのある人
など、どの範囲まで広げてお別れ会の開催を告知するかによっても違いますが、SNSは別として実際の資料集として有用なのが、年賀状と携帯電話やスマートフォンのアドレス帳です。
まずは年賀状を基に参加者を選んで案内状を送付し、返信状況を見て参加人数の予想を立てます。
社葬の場合
社葬の場合、社葬に招待する企業は取引の大小を問わず全ての取引先及び関係者に招待状を送付します。
お別れの会の形式は三種類
お別れの会は進行も内容もを自由にできますが、宗教的な要素を含む場合もあれば全く宗教色が無い内容にすることもできます。ここでは大まかに三種類の形式を紹介しましょう。
葬儀形式
一般的な宗教的儀式の手順を踏んで実際の葬式の「葬儀・告別式」に近い流れで行われ、式場内に花祭壇を設営します。
流れの一例としては、黙祷の後に生前の故人の経歴紹介、お別れの会の委員長の言葉、参列者の言葉、献花、会食。となります。
宗教色がある会なので使用する会場は、斎場やセレモニーホール、寺院などが最適です。
会食パーティー形式
宗教的儀式の手順などは一切無しという内容がほとんどで、式場内に設営する花祭壇は控えめになります。
会食パーティーなので、冒頭で献花を行いビュッフェ(立食)に移る形式が多く、会食しながら生前の故人の経歴紹介や参列者の言葉などを聞きます。式中の退席や献花だけの参列も可能です。
使用する会場は、ホテルの宴会場や会館などです。
葬儀形式とパーティー形式の混合
宗教的儀式もしますし立食もするお別れの会で、先に告別式と献花、その後に食事の流れになり、宗教的儀式の部屋と立食パーティーの部屋を分けるか、大きな部屋を使って部屋を仕切ります。
使用する会場は、宗教色があるので大きめの斎場やホテルになります。
ホテルなどの場合は、読経、遺骨の持ち込み、線香やローソクなどの火災の原因となるような物品の持ち込みや使用が禁止の場合もあるので確認が必要です。
お別れの会の進行例
個人主催のお別れの会で会食パーティー形式の場合の一例です。
01.参加者入場
02.献花
03.開式の辞
04.黙祷
05.故人略歴紹介
06.献奏
07.お別れの言葉
08.主催者よりお別れの言葉
09.閉式の辞
10.会食
11.解散
この例では最後の方に会食としていますが、お別れの会には元々形式が無いので故人の略歴紹介を聞きながら会食を始めても大丈夫です。
故人の略歴紹介では映像の上映や画像を展示するなどすることもあり、献奏はデジタル音源をスピーカーから流したり、生前に故人が趣味で加入していた楽団から数名を呼ぶなどして生演奏にすることもあります。
香典と会費
お別れの会に参加する場合に、「香典」または「会費」のいずれかを持参します。お別れの会は多くが主催者側が費用を負担しますが、友人などが主催して個人的なお別れ会を開く場合には、参加者が各自会費を持参します。
お別れの会の会費
友人が集まって開催するお別れの会など、個人主催の場合は会費制にすることが多く、会場代や飲食費などの合計費用を参加者人数で割った金額を会費とします。
会社主催や故人でも大規模開催の場合は、招待状に会費の金額が明記されており、多くは1万円~15,000円が相場になるでしょう。
社葬の香典
取引先の社葬に招かれた場合、社葬を主宰する会社が香典を辞退していることが多いので、案内状に香典辞退と書いてある場合は香典を用意せずに参加しても問題ありません。
場合によっては「誠に勝手ながら ご香典・ご供花・ご供物の儀は固くご辞退申し上げます」となっていることもあるので、社葬の案内状と香典などについての意向をしっかり確認しておきましょう。
香典を持参する場合は
・一般的な取引先の場合1万~3万円
・故人との関係性が深い、あるいは会社の代表者の氏名で香典を出す場合3万~10万円
・故人に恩義がある、生前非常にお世話になったという場合は最高額で20万円まで
というような相場になるでしょう。
お別れの会のメリット
密葬で親戚縁者だけでの葬儀を行う、お別れの会では故人の友人知人関係者を招く、というように葬儀とお別れ会で参列者を分割できるので、葬儀で遺族が多数の参列者に振り回されることなく故人を弔うことができます。
お別れの会は人数も内容も自由なので、数人の友人が自宅などで挙行する場合もあれば、社葬として何千人もの参加者を招くものまであり、また宗教色の有無から宗教色の混在まで会の内容も自在です。
多くのお別れの会は密葬後2週間から2か月の間に開催され、準備期間を十分とることができるので、当日に展示する個人の遺品を探し出したり上映する映像の制作など、故人を偲ぶ物の用意をすることができます。
開催まで日時的な余裕があるということは、遠方からの参加者の宿泊などに有利であり、また故人が生前に交友のあった知人友人関係者を漏らすことなくお別れの会に招くことが可能です。
花祭壇は故人が好きだった花や好みの色を使ったり花祭壇全体を統一することができ、宗教色が無く自由度が高いため、複数の生花を組み合わせることで故人の生涯を目に見える形にすることができます。
社葬は企業にとって非常に重大な行事で、内容の濃い社葬の挙行は、取引先・株主・社員、会社とは全く関係のない一般の人々に対しても、今後の社の印象をさらに良くすることができるでしょう。
寺院や斎場だけではなく、宗教色の有無など会の方向性によってはホテルを選ぶことができるなど、お別れの会を行う場所の種類が増えます。
お別れの会のデメリット
先に遺族親族で密葬を挙行し後にお別れの会を挙行して、同一人物が費用を負担した場合、二回分の葬儀費用を捻出することになります。
そもそも家族葬や一日葬などで遺族親族が満足する葬儀が挙行できれば何の問題も無いところを、わざわざ大規模なお別れの会をすること自体が不必要という意見もあります。
葬儀社が、宗教的儀式を一切せず火葬だけを済ます「火葬式(直葬)」をした後にお別れの会をするという葬儀方法の販売をし始めましたが、多くの故人は一回の葬儀で十分なので、葬儀社の営業話法に乗らないことです。
花祭壇は生花を一日だけ使うので祭壇の大きさに比例して廃棄物が増えるというエコとは真逆の祭壇でもあり、白木祭壇より高額になる傾向もあります。やはり白木祭壇の方がエコで安価になるでしょう。
お別れの会の内容は全く何も無い所から自由に組み上げることができるので、ある意味では明確な目標や目的と演出力企画力が無いと、何を伝えたいのか全く分からない軽薄な会になりかねません。
会の成功は主催者の明確な目的が必要でもありますが、それ以上にお別れの会を請け負った業者のお別れの会に携わった経験と知識が問われるので、複数社の業者に開催の相談と見積もりを依頼する必要があります。
社葬は必要な費用の多くが損金計上できますが、それでも多額の費用が必要であること、後継者候補が複数いる場合や後継者選定が確定しないままの社葬は派閥争いが表面化してしまい、悪印象になることもあります。
まとめ
お別れの会は宗教色があるものから宗教色が全く無いものまで自由な内容にすることができるのが特徴で、大まかに分けると、個人主催、会社が主催する社葬、芸能人や有名人などのお別れの会があります。
会の進行内容としては、従来の宗教手順に則ったもの、宗教的手順が全くないパーティー形式、宗教的儀礼とパーティーを混合した形式があります。
社葬の場合は、会社へ多大な貢献をした人物、役員、業務中の殉職者などを対象に、企業が追悼の意を表すために開催する意味があり、今後の会社の印象と結束力を上げるためにも重要な行事になるでしょう。
個人主催で行うお別れの会は、先に近親のみで密葬形式で家族葬や一日葬を挙行した後に、故人の友人知人関係者などを集めて行うこともあり、葬儀を二回も行うことについて賛否があります。
これまでの宗教儀礼に基づいた没個性的な葬儀だけで終わらせるのではなく、故人の意思を汲み個性に溢れ、自由な演出で肩の力を抜いて故人を見送りたいのであれば、個人主催のお別れの会を検討する価値はあるはずです。