家族葬のトラブル8例と解決策を解説します!

家族葬トラブルの主な原因は「新しい葬儀形式が原因となるもの」「金銭的なもの」の二種類に大別されます。
原因としては、まだ新しい形の葬儀なので旧来の葬儀と違う部分が知られていない為、家族葬を理解してもらえないことや、安く済む印象が先行していることです。
ここでは、よくある家族葬トラブル8例とその解決方法を解説していきます。

家族葬とは

まず先に家族葬について解説しましょう。
家族葬は参列者を故人の家族や遺族、親しかった人などを中心に小規模で執り行う最近増加傾向の葬儀ですが、明確に決まった形式はありません。。
家族という言葉が付くので、参列者は故人と同居していた家族や、その他に親兄弟など縁故的に近しい家族だけが選ばれる印象がありますが、遺族親族以外に故人と親しかった友人知人を招待してもいいのです。
参列者の数や内容は、生前の故人の関係性と喪主遺族の判断によって違いがあります。

葬儀の内容も決まった形は無く、従来のように宗教者を呼び宗教形式に則り、宗教手順を踏んだ家族葬や対極的に宗教者を呼ばない、祭壇など宗教色があるものは省く「無宗教形式」にすることもできます。

家族葬増加の理由は価値観の変化

時代の流れで葬儀の価値観が変わり、多数の参列者を招待して宗教形式に則る等の葬儀にこだわらなくなったこと、高齢化の影響もあって葬儀に招待できる人が少なくなったことが家族葬が増えた理由と思われます。

一般葬や一日葬との比較

一般葬は、ある意味参列者無制限なので、参列者の範囲も数も全く選別しないという葬儀です。
一日葬は、通夜無をしないで一日で終わらせる一般葬または家族葬とたとえられるでしょう。

家族葬のメリット

家族葬は家族だけが出席する少人数の葬式だから、気楽にお葬式ができそう。と思うかもしれませんが、それ以外にもメリットがあります。

気楽に最後のお別れをしたい場合に最適

家族葬は見知った親戚や気心知れた人だけに限定してして招待するので、一般葬のように多数の弔問客への接待や対応に気を使い忙殺されることが無く、穏やかにゆっくりと故人と最後のお別れをすることが可能です。

事前準備の軽減

多数の参列者を招くことは、故人の年賀状や何枚もの名刺、スマートホンの電話番号を探し出し、各個人に連絡するので大変な作業です。
家族葬の場合は葬儀に招く人を主に見知った親族に連絡するだけなので、事前準備の軽減効果は絶大になります。

故人の個性を生かした葬儀が可能

伝統的な宗教的な葬儀も選べますし、故人の個性を生かすべく宗教色を廃した葬儀にすることもできます。
モダンな祭壇に故人を象徴するような彩りの花を飾ったり、メモリアルコーナー、クラシック音楽やジャズの生演奏などの演出で故人を偲ぶことが可能です。

葬儀費用を削減できる

小規模での葬儀は、人数に比例して増える返礼品・飲食費用を抑えることができます。
無宗教形式にすれば、読経料で約20万円~30万円、戒名料で約10万円~100万円以上の、葬儀費用の節約になるとも言えます。

呼びたくない人への口実に使える

家族葬は、故人に会わせたくない人物、親族間では有名なトラブルメーカーだったり銭ゲバなど、性格の悪い人を呼ばない口実に使える葬儀でもあります。

01.呼ばない人から不満や怒りのトラブル

前置きが長くなりましたが、ここからは家族葬によくあるトラブルとその対処方法を八項目に分けて解説します。

少し棘のある言葉を使えば家、族葬は「選ばれた人だけが参列できる」ので、故人との最後のお別れをしたいのにも関らず葬儀に招待されない人も出てきます。招かれなかった親族から不満や怒りの声を受けることもあります。

従来の無制限的に参列者を呼べる一般葬とは違い、家族葬という新しい形の葬儀は世間的には知られていないのが現状です。
そこを(悪い意味では無く)家族葬を知らず「葬式 = 一般葬(誰でも参列できる)」と思っている人はいます。
故人とのお別れから除外されたと勘違いして、あるいは参列者を限定するという家族葬の内容を知っても故人への情から、参列できないことに不満を表します。

呼ばない人からの不満対策としては

1.家族葬という形式にした理由を丁寧に説明する。
2.その人が今後も付き合いが続く親戚であるらな招待する人に含める。
3.喪主と遺族だけで招待する人を決めるのでは無く、招待する中で一番重要な親戚などに相談する。
4.葬儀を家族葬形式で行う理由を(喪主遺族の都合ではなく)「生前の故人の希望によるもの」とすることで「故人の遺志なら仕方ない」と、理解を得られるかもしれません。

02.葬儀内容のトラブル

価値観の違いから、葬儀内容について不満を言われてしまうこともあります。
家族葬はまだ新しい葬儀なので、従来通りの葬儀に数多く参列した人が家族葬に出ると、参列者の少なさに驚いて寂しさと冷たさを感じるようです。
自由演出ということで、例えば大量の生花で飾られた現代風モダン祭壇と現代風棺、僧侶がいない代わりにクラッシック音楽の生演奏などに嫌な意味で驚くのだそうです。
さらに、通夜振舞い無し、精進落とし割愛。という家族葬もあるのです。

高齢参列者の人情と怒り

このような超現代風最先端家族葬に参列した高齢の参列者が
「故人は仏教の作法に則って盛大に送ってやるのが人情で、食事しながら故人の思い出を語ってやるのが弔いだろう、そんなに葬式代をケチりたいのか、だったら坊主代も飯代も出すから金額を言え。」
と激怒したという話もあります。

家族葬は様々な点で自由な形にできますが、あまりにも現代風に極振りした意識高い系の葬儀にするのは反感を買うかもしれません。

葬儀内容のトラブルを防ぐために

1.少人数にこだわって文句を言われるなら、ある程度大人数の家族葬にする。
2.今までの葬儀に慣れているであろう人には、家族葬の概要を説明して理解してもらう。
3.現代風にこだわらず、宗教者は呼ばずとも祭壇は宗教形式にする、通夜振舞い無しでも精進落としはするなど、ある程度の従来形式も取り入れる。
という対策が取れます。

03.呼んでいない人が来てしまった

喪主と遺族で選んだ参列者に連絡し、家族葬を少人数で執り行うことを伝えたのに、呼んでいない人が通夜や葬儀に来たというトラブルがあります。

呼んだ参列者と同じ対応ができない

遠いところをわざわざ来てもらったので、焼香だけですぐ帰ってもらう訳にもいかず、と通夜振舞いの席も料理も用意していないので、他の参列者と同じ対応ができません。
ある程度親戚付き合いがある人であれば、何とか対応できるかもしれませんが、喪主遺族と面識の無い人が来てしまうと、どのような対応をすればいいかもわからなくなります。

葬儀が修羅場になる場合も

故人と絶縁していた、親族間で評判が悪いなどの理由で招待していない人が来た場合
・親族同士で大喧嘩
・祭壇前で「お前が死んで安心したよ」などの暴言を食らう
・喪主遺族の前で遺産の話
・ミニスカ・派手なブランドバッグ・きつい香水で、参列者の視覚と嗅覚を攻撃。
など、葬儀のトラブルを超えた葬儀の破壊や修羅場になることもあり得るので、葬儀に招待しなかった人が絶対に来ないようにする対策が必要です。

招待していない人が来てしまうトラブルの解決方法

1.葬儀に呼ぶ人だけに訃報と葬儀について伝え、他の人物への口止めを徹底することです。
2.招待した人に葬儀の日時場所を教える方法は電話に限定し、招待した人が他の親戚縁者に連絡してあげると言っても断り、全ての招待客に直接連絡しましょう。

04.葬儀後に弔問者続出

家族葬で選んだ参列者だけで気楽にゆっくり故人を送ったのに、葬儀に呼ばなかった人が葬儀後に何人も弔問に訪れ、その対応で疲れてしまったということもあります。
こんなにたくさんの弔問客が来てしまうのなら家族葬ではなく一般葬にすればよかったと後悔することもあるでしょう。

葬儀後の弔問客続出の対策

1.葬儀準備の段階で故人の親戚付き合いと交友関係を把握し、参列人数が多くなるようなら無理に絞らず、家族葬ではなく故人と縁のある方なら誰でも参列可能の一般葬にすることです。
2.一般葬は多くの一般参列者の応対に忙殺され、故人とのお別れをした気分になれない傾向がありますので、近親だけで密葬を行い、後日一般参列者だけでお別れの会を行うという方法もあります。

05.菩提寺とのトラブル

故人に菩提寺がある場合、通夜・葬儀告別式をしっかり行う家族葬に理解を示さない寺院はほぼ無いでしょう。ですが現代風の葬儀にした場合などにトラブルになることがあります。
・通夜無し家族葬はについて寺院に理解されるとは限らない
・無宗教形式の家族葬は、宗教儀式を踏襲せず宗教者も呼ばれていないので、寺院から拒絶される
これらが予想されます。
菩提寺に理解されない葬儀手順を踏んだ遺骨は、菩提寺内の先祖代々のお墓に入れてもらえない、あるいは宗教者を入れた上で葬儀のやり直しを求められる、というトラブルに発展します。

お寺とのトラブルを防ぐ方法

菩提寺がある故人の家族葬は
1.ある程度現代風な葬儀にしたい場合でも、祭壇をモダン祭壇や花祭壇に変更する程度に止め、宗教者を呼んで宗教手順に則った葬儀にする
2.通夜無し家族葬であれば理解してもらえるかもしれないので、葬儀社に葬儀内容を相談する前に菩提寺に打診する。
3.どうしても無宗教葬にしたいのであれば、菩提寺以外の霊園などに墓を持っているかまたはその予定がある場合に限る。
このような方法が挙げられます。

06.香典・供花・供物辞退なのに持参された

家族葬は香典・供花・供物を辞退することが良く見られる葬儀で、招待する参列者に葬儀の連絡時にその旨を伝えるのですが、それでもこの三点のうち一点二点を持参する人が現れることがあります。
これは故人を思ってのご厚意なので、無下に突き返すこともできず困ってしまうことでしょう。

辞退物トラブル解決方法

1.香典・供花・供物はどこまで受け取るのか、喪主遺族内で相談し、参列者に葬儀の連絡をする時に伝えます。
2.葬儀当日の想定外の香典・供花・供物は決して受け取らないというのが正しいのかもしれませんが、せっかくのご厚意なので参列者の意思を汲んで受け取るというのもまた正しい。と言う認識も必要です。

07.香典辞退をしたら葬儀費用が高騰した

香典を受け取らない家族葬の実際の総費用が、香典を受け取った場合の一般葬の差し引き総費用より高くなることがあります。
多くは、参列者が多く通夜振舞いも精進落としも有りにした家族葬でこのような現象が見られるようです
葬儀プランに多数であったり豪華すぎる別途料金のオプションを付加している場合も、葬儀費用は高騰します。

費用高騰のトラブル解決方法

例えば葬儀会場をより格式の高い部屋にすれば会場費用が上がりますし、花祭壇は白木祭壇より数十万円高くなることがあります。通夜振舞いや精進落としの一人当たりの単価が高いのかもしれません。

葬儀費用高騰トラブルについては
1.通夜振舞いか精進落としのどちらかを無しにする
2.一人当たりの飲食品費を見直す
3.複数社の家族葬パッケージブランを比較する
4.別途料金になるオプションは極力避ける
5.派手な飾り付けや演出を控える
このような対策が挙げられます。

08.請求金額が想定より高いトラブル

先の07で解説した内容は「喪主遺族自身がいつの間にか金額が張る方向に進んでいた」ようなものですが、ここで解説するのは
・喪主遺族が葬儀社の葬儀パッケージプラン以外にも必要な費用があることを知らない場合
・葬儀会社が同意なく葬儀を高騰させていた場合
です。
家族葬なら安いと思って家族葬を選択したものの、請求書を見たらとんでもない金額になっていたというものです。

葬儀の三大費用を知っておきましょう

まず前提として、葬儀の費用は大きく分けて
1.葬儀パッケージプラン(葬儀一式)の費用
2.飲食返礼品などの実費
3.宗教者には払う費用(お布施)
三種類で構成されます。

葬儀プランの金額が葬儀費用ではない

例えば喪主・遺族2人・参列者7人で「小規模家族葬 税込429,000円プラン」を契約し、香典を受け取り、通夜振舞い有り、精進落とし有り、お坊さんの読経・戒名付与も有りにした場合、なるべく単純に考えて

家族葬プラン(葬儀一式)429,000円

返礼品一人単価1,500円×7人=10,500円
通夜振舞い一人単価3,000円×10人=30,000円
精進落とし一人単価5,000円×10人=50,000円
(飲食返礼品費 計90,500円)

読経料金30万円
戒名料金50万円
(お布施 80万円)

の合計、131万9,500円
が葬儀全体の費用になり、総額は家族葬プランの約3倍の葬儀費用になります。
葬儀プラン+飲食返礼品費+お布施。この三種類の合計が葬儀全体費用であることを理解していない場合、葬儀プランの金額だけが葬儀費用と思い込んでいると、実際の請求額に驚いてしまいます。

強引な葬儀社との金銭トラブル

残念ながら喪主遺族が納得していない高額な内容で葬儀を行い、葬儀後に高額な金額を請求する葬儀社もあるようで、故人が他界してから一日程度の短い時間で葬儀を決めなければいけない状況に付け込むようです。

・「(三種の費用合計で)予算は200万円」と葬儀社に伝えたところ、葬儀一式に様々な追加サービスを付加して豪華な一式200万円分にし、さらに飲食返礼品費とお布施を加えた料金を請求された。
・頼んでいない花や花束が発注されていた、搬送車でいいのに霊柩車にされていた、聞いていないオプションが追加されていた。
・見積りを全く見せずに契約し葬儀を行い、葬儀終了後に高額な「見積もりと請求書」を渡された。
・火葬場を予約できるのは葬儀社だけという立場を利用して、「今契約しないと葬儀は5日後になります」などと言い、詳細も見積書も見せず強引に契約を迫る。
(このような場合は「でしたら明日から5日後までの火葬場の予約状況を教えてください、5日間火葬ができないのならその間で10社くらい見積もりを取れますから、御社はお帰りください」と冷静にツッコミましょう。)
など、ごく稀にですが喪主遺族との合意なく葬儀社が先走る例が見られます。

請求費用高騰のトラブル対策

1.ネットが使える状況であれば葬儀社についてある程度調べましょう。
2.総額だけでなく項目毎に詳細に金額が明記してある見積もりを、契約前に提出してもらう
2.葬儀社との打ち合わせは葬儀社の営業職にとって成績達成の場であるということを意識し、喪主と喪主以外の遺族の複数で話を聞く
3.早く葬儀をしなければならいなという意識は捨てていいので、ゆっくり複数の葬儀社から話を聞き比較する
4.火葬場の予約状況等を盾に契約を迫る葬儀社は断りましょう。葬儀社は他に沢山ありますし、多くの場合は遺体を急いで焼く必要はありません。

トラブルを未然に防いで、良き葬儀に

家族葬はある意味で現代の最先端を行く葬儀形態ですが、従来の葬儀から割愛するものが多いため、親族や菩提寺とのトラブルにつながることもあるでしょう。
また、家族葬=少人数で執り行う葬儀なので安く済み、気兼ねなく故人を見送れるというイメージとは裏腹に、結構な出費になったり後日の弔問客が絶えないのであれば、一般葬にすべきだったと後悔することもあり得ます。
家族葬であることとは別に、葬儀社との金銭的なトラブルも考えられます。

このようなトラブルを防ぐためにも、まず選んだ招待者の望む葬儀形態をある程度取り入れること、菩提寺がある場合には最初から葬儀内容について伺っておくこと、葬儀プランの安さに釣られないことなどが必要です。

家族葬をはじめあらゆる葬儀は、故人と、喪主遺族と今後も関係を持ち続ける人の為にも必要な儀式です、複数の葬儀社を比較して、心に残る良き葬儀を執り行いましょう。