家族葬は決まった形式が無い葬儀と言われますが、式自体の流れは一般的な葬儀と変わることはありません。
宗教形式で執り行う場合は宗教手順に則る形で、無宗教形式の場合はある程度の進行の形式があるものから全く自由な形で進行してもかまいません。
ここでは主に仏式に則った場合と、通夜告別式で無宗教形式を採った場合の家族葬の流れについて説明します。
まず、家族葬とは
「家族」葬なので、故人と同居していた家族や故人の親兄弟姉妹だけが参列する小規模な葬儀なのかな?という印象がありますが、親しい親族も出席しますし、場合によっては故人と仲が良かった友人なども参列します。
基本的に少数参列の葬儀
今迄よくある多数の参列客を呼ぶ葬儀にすると接待に忙殺されるので、付き合いのある内輪の範囲で参列して、気負うことなく故人との別れの時間を取ってゆっくり見送りましょう。という現代風の葬儀です。
現代風と言えば、高齢化の影響で体力の無い高齢者を葬儀に招くのは憚られる、近所付き合いなどが希薄、故人が高齢で知人友人がすでに他界しているので参列者がそもそも少ない。などの世相を反映した葬儀でもあります。
葬儀社が販売している家族葬プランは参列者1~30人程度を想定しているようですが、実際に招待する参列者数は自由で、30名を超える家族葬もよくあるそうです。
形式は自由
家族葬は喪主と遺族が参列者を選ぶという大前提はあるものの、参列者の人数も葬儀の内容も決まった形式が無い葬儀です。
従来の葬儀は、宗教に則った祭壇を設置し葬儀会場の飾り付けも宗教色を逸脱しないようにし、宗教者を呼んで宗教的手順に則った進行で執り行うことが一般的でしたが、家族葬はそのあたりも自由です。
例えば通常二日かけて執り行う葬儀を、通夜を省略して一日で終わらせることもできます。
参列者の範囲
堅いことを言えば遺族親族を招く葬儀なので
・故人の遺族:遺族とは故人の両親・配偶者・子。あるいは生計を一つにしていた家族
・故人の親族:血縁の六親等まで、姻族三親等まで
この範囲から選ぶことになりまですが、これにこだわる必要はありません。今後も付き合いが続く親族や故人と仲が良かった人を選んで招待すれば良いのです。
喪主遺族が参列者を選べるという家族葬のある意味強みを生かせば、故人と揉めていた人や縁を切った人、性格が非常に悪い等、何かしら問題ある人を葬儀に招かないこともできるメリットがあります。
ここからは例として故人が病院で逝去してから、葬儀告別式が終わって火葬場から帰宅するまでの家族葬の流れを解説します。
01.逝去・遺体の搬送
病院で死亡した場合、遺体を安置場所まで搬送しなければなりませんが、自家用車で遺体を運ぶのはお勧めできません。遺体の搬送許可を持っている専門業者に任せるのが一番でしょう。
急いで搬送準備
昭和後期までは自宅で亡くなることが多かったようですが今は8割以上が病院で亡くなっているそうです。病院で死亡すると医師によって故人の死亡が宣告され、遺体の処置と同時進行で死亡診断書が作成されます。
遺体は病院内の霊安室に一時的に保管されるのですが、霊安室の使用時間は長くても3時間など短い時間しか与えられないことが多いので、遺体の搬送手段と搬送先を早急に決めなければなりません。
遺体の搬送は遺族所有の自家用車でも法的には問題ないのですが、遺体の様々な穴から液漏れする可能性もあり、衛生面や遺体の固定などの観点からも葬儀社に搬送を依頼するのが良いでしょう。
重要な人物や親族に連絡
葬儀に招く人を「選ぶ」ことを前提としている場合、訃報の連絡は葬儀に招くことが確実な人だけに限り、葬儀に呼ぶことを迷っている人はこの時点では連絡をしない方が良いでしょう。
家族葬は葬儀に招かなかった人が突然葬儀に訪れることが無いよう、葬儀に招いた人に決して葬儀の話を他人にしないよう口止めする必要があります。
よって葬儀に呼ぶことに迷いがある人の場合、故人が他界した直後に訃報の連絡はせず後に他の遺族とも相談し、葬儀の場所日時が確定した後で訃報と同時に葬儀の連絡するのが得策と言えるでしょう。
安置先を決める
安置先は
・自宅
・葬儀社や斎場の安置室や保冷庫
・民間の遺体安置施設(遺体ホテル)
の三種類が考えられます。
先に書いてしまうと安置先は自宅がお勧めです。故人を住み慣れた自宅に帰してあげることができ、安置料金は不要で、ずっと故人に付き添うことができます。
葬儀社や斎場の安置室や保冷庫に置いた場合は
・故人と全く面会できない
・面会料金は発生しなくても故人との面会時間に制限がある
・泊まりで故人に付き添う場合は別途追加料金が必要
のいずれかになるでしょう。
民間の遺体安置施設は安置料金が必要ですが、24時間営業で故人との面会時間に制限が無い場合もあるなど、故人との面会についての自由度が高さが特徴です。
葬儀会社に依頼する場合の注意点
・故人が他界する前から契約していた既知の葬儀社
・ネットなどから探して緊急的に依頼した初見の葬儀社
・病院から紹介された初見の葬儀社
のいずれかに搬送依頼をします。
ネットなど・病院から紹介された場合など「初見」の場合は「遺体の搬送と安置」を依頼する「だけ」で「後に複数の葬儀社を比較する」ことを明確に伝えておきましょう。
というのも、このブログの管理人も痛い目に遭ったのですが、病院に紹介されて遺体の搬送を依頼しそのまま葬式の見積もりの話になった葬儀社の態度が非常に悪く、搬送料だけ支払って追い出した経験があるからです。
他社との比較も無く、なし崩し的に初見の葬儀社と契約してしまうことを避けるため、初見の葬儀社はまず搬送だけの依頼としておきましょう。
02.喪主の選び方
喪主は葬儀の主催者で葬儀会社や宗教者との話をまとめる責任者でもあります。遅くとも通夜が始まる前までに喪主を決めておく必要があります。
なかなか喪主が決まらない場合
多くは大した揉め事などなくすんなり喪主が決まるようですが、故人と性格が合わないなどの理由で絶縁していた長子が喪主に推されているのを拒絶しているなど、どうしても喪主が決まらない場合があります。
そんなときの喪主決定の優先順位は
1.故人の生前の意向や遺言に従う
2.故人の配偶者
3.故人の子
4.故人の親
5.故人の兄弟姉妹
6.遺族親族以外にお願いする
このような順番に従うと喪主の決定がしやすくなるでしょう。
03.葬儀社の決定
遺体の搬送をした葬儀社と、接客態度・サービス・料金・葬儀内容、などが合わない場合があるので、後悔しない為には複数の葬儀社から話を聞いて見積もりを比較することは必須です。
後悔しないことや金銭的に納得できる葬儀にするために、葬儀社は必ず複数社を比較する必要があります。急いで葬儀をする必要は無いので、落ち着いて葬儀社の見積もりを比較しましょう。
葬儀社の選び方
「複数社から見積もりを取ると言っても難色を示さない」葬儀社に来てもらいましょう。故人が他界して動揺しているとは思いますが、複数の葬儀社に声を掛けてみましょう。
葬儀社に
・家族葬を希望している
・予想参列者総数
・宗教色の有無(宗旨宗派)
・葬儀全体の予算
・通夜と通夜振舞いの有無
などを伝え、詳細を話し合い見積もりを出してもらいます。
・予算が低くても態度を変えない
・支払い方法が複数あり、支払い期日に余裕がある
・契約を急がせない
・葬儀費用の見積もりが詳細で明確
これらを満たして、見積内容に納得ができれば、契約の候補に挙げても良い葬儀社です。
契約に当たっては
・詳細な明細が書いてある見積もりを必ず受け取り確認する
・理解できない、納得できない、気乗りしない場合の契約はしない
この二点を意識しましょう。
契約後に葬儀日時が決まる
火葬場の予約は葬儀社のみができる地域が多く、葬儀会場の手配も葬儀社が行うので、葬儀社との契約直後に通夜・葬儀告別式と火葬の日時場所が確定します。
焦らなくても急がなくてもいい
特に故人が他界した後に初見の葬儀社から選ぶとき、意識しておきたいことが「焦らない」「急ぐ必要は無い」です。焦らずに複数の葬儀社を比較しましょう。
例えば火葬場の予約一杯でが通夜日が故人の死亡日の一週間後になることもありますが、それで文句を言う参列者はいないでしょう。でしたら葬儀社を選ぶのに一日や二日を要しても大丈夫と言えます。
大金が動く「商談」という意識は大切です
また、葬儀費用と一口に言っても
1.家族葬パッケージプラン料金
2.お布施(読経料+戒名料)
3.飲食返礼品費
4.火葬場料金
に分かれ、総額では約100万円~100万円台中盤、参列者数によっては200万円以上にもなる「商談」です。
葬儀とは言え100万円以上の「買い物」です。例えば葬儀では無く単純に100万円以上の買い物であれば、後悔しないよう何日もかけて購入を決めると思います。
ですが葬儀の場合は、急いで葬儀を執り行わなければならないという変な暗示に惑わされ、数時間程度の話で決めてしまうことに問題があります。
焦らす手法に注意
残念ながら、故人が他界した後に葬儀社を探した場合、何故か葬儀を早急に行わなくてはいけない雰囲気に持ち込んで遺族親族を焦らせ、契約を取ろうとする業者もあるようです。
場合によっては1時間程の葬儀の相談で契約することもあるそうです。納得して契約したのであればいいのですが、業者の勢いに気押されて葬儀の詳細や金額を把握しないまま契約したのであれば大問題です。
(余談)こんな葬儀社はダメ
ここは読み飛ばしてかまいません。
例えば宅地建物取引業(不動産屋)の場合宅地建物取引業免許が必要ですし、医院の運営には医師免許が必要です。ですが葬儀会社の運営に資格や免許は不要なのでトラブルがあっても罰則や免許の取り消しはありません。
このため新規参入しやすい業種となることもトラブルを生み出す原因です。葬儀社が認可制ではないことは数ある原因のうちのほんの一因でしかないかもしれませんが、それでもトラブルは嫌ですよね。
そこで葬儀の契約で損をしたり嫌な思いをしないよう、このような葬儀社はダメという例を挙げておきます。
火葬場の予約を盾に契約を迫る
火葬場は葬儀社のみが予約できることを逆手に「今契約して頂ければ明後日の火葬場の予約枠を取ることができますが、明後日を逃せば六日後の火葬になります」などと、他社と比較させずに即契約を迫る。
真夏に自宅安置など条件が悪く遺体が損壊しやすい条件下なら葬儀を急がなければならないかもしれませんが、契約した葬儀社の保冷庫に入れてもらえば一週間くらいの保管はできます。
そもそも何で明後日の火葬場を逃したら次が六日後なの?じゃぁ三日後四日後の予約状況を教えてよ。と反論してまずは目の前の葬儀社に帰ってもらい、次の葬儀社に連絡するのがいいかもしれません。
割引の悪用、抱き合わせセット販売
「家族葬パッケージプランを仏壇と一緒に契約すれば、プランの費用が〇〇パーセントオフになります。」「お墓も一緒に契約すればさらに〇〇パーセントお安くできます。」
・割引販売
・抱き合わせ販売
これらの(好条件?)で強引に迫る手法。
これは一番高い割引率が適用されたとしても損しないように、葬儀パッケージの金額をあらかじめ高く設定している可能性があります。
例えば元々50万円の家族葬パッケージを、最大割引の20パーセント引きになっても大丈夫なように625,000円にしておくなどの手法です。あとは墓業者から契約の見返りがあるのでしょう。
こんなのは遺族の心証が悪くなるだけですし、気持ちが入った葬儀を行えない業者でしょう。迷わず他の葬儀社との比較をして納得できる葬儀社と契約しましょう。
総額の意味のすり替え
例えば葬儀社に「総額100万円でお願いしたい」と言ったら、家族葬パッケージブランに沢山のオプションを付加して100万円分にされ、通夜振舞い精進落としの飲食費と宗教費用を加算して高額請求された。
というような話もありますので、必ず「詳細な」見積もりを取りましょう。
安価な葬儀を嫌がる
家族葬プランに式場料金が入っていない場合(式場料別途自己負担)、葬儀費用節約の為に葬儀社が保有する式場ではなく自宅や公民館での葬儀を打診すると、強引に反対する、態度が悪くなる葬儀社もあります。
喪主遺族の意向を全く汲んでくれない業者は納得できる葬儀はできないでしょう。こういった場合も他の葬儀社に相談すべきです。
とにかく強引
白木祭壇でいいのに「故人の個性を生かして(白木祭壇より高額な)生花祭壇にしましょう!」と言って強引に葬儀内容を組み立ててしまい、喪主遺族の話を全く聞かない。
(そもそも故人は花に全く興味が無い人だった。ついでに言えば、葬儀社の営業職が故人の個性を知っているのか?というツッコミ)
他にも強引な葬儀会社の営業の話はありますが、強引な態度が嫌で気乗りしないのであればその場で即断りましょう。世の中に葬儀社はたくさんあるので大丈夫です。
04.菩提寺と打ち合わせ
故人に付き合いのある菩提寺がある場合は、そのお寺の僧侶に家族葬でのお勤めを依頼します。
菩提寺との打ち合わせ
菩提寺へのお勤めの依頼連絡は葬儀社との契約が終わって葬儀日程が確定したらすぐ(深夜早朝を除く)にした方が良いでしょう。万一僧侶の都合が合わない場合は葬儀社と打ち合わせをして葬儀日程を再調整します。
・通夜と葬儀告別式の日程と場所
・希望する僧侶の人数
・故人に付与する戒名
を相談します。
さらに
・戒名授与
・枕経
・通夜の読経
・葬儀告別式の読経
・納の儀で火葬炉前の読経
・初七日法要の読経
のうち、何をしてもらうかを相談します。
例えば通夜はやらないの、告別式の読経までお願いして火葬炉前と初七日法要の読経は要らなくなる。などです。
これは結構重要で、もし葬儀社と通夜無し家族葬で合意した場合でも、寺院によっては通夜と葬儀告別式時の読経が揃わない葬式は認めないので、遺骨を菩提寺内の先祖代々の墓には入れられない、ということもあります。
このように喪主遺族側と寺院側でそれぞれ考え方があるので、妥協点を見つける必要があります。
お布施についても聞いておく
菩提寺との打ち合わせのとき、もし聞けるようであれば
・お布施の参考金額
も聞いておくと良いでしょう。
お布施の内訳は(読経料+戒名料)なのですが、読経料戒名料と言う言葉は宗教者の前では禁句なので両方を合わせてお布施と言います。
地域にもよりますが、読経料金は僧侶一人の場合20万円~30万円が相場だそうですが、稀に読経料金の部分で40万円を超える請求をする場合もあるそうです。
そういった場合は契約した葬儀社に、居住地域での相場や葬儀社として見知った読経料の相場などを参考として、寺院に読経料の交渉をしてもらいましょう。
05・参列者の招待
家族葬の場合、一般的な葬儀のように誰でも参列してもいいというのではなく、参列者を選びます。
葬儀に招待されなかった人から嫌味などを言われないよう、葬儀の招待に当たって事前に対策しておく必要があります。
参列者の選定基準と嫌味対策を決める
葬儀社と寺院との打ち合わせで通夜葬儀の日時と場所が確定したら、参列者を招待するのですが、それまでの間に葬儀に呼ぶ人と呼ばない人を選別しておくのは家族葬ならではの必須事項です。
参列者の範囲については先に触れましたが、家族葬に招かなかった人から文句や嫌味を言われたりするのを避けるため、できる限り明確に家族葬に招待する基準を明確にしておく必要があります。
それでも文句や嫌味を言う人への対策としては
・遺族が家族葬形式にした理由を説明する
・揉めそうな人は招待者に入れる
・故人の遺志により家族葬にしたと言ってみる
等があります。
選んだ招待者に連絡と口止め
家族葬は葬儀に呼んでいない人が葬儀に来てしまうことが無いようにする為の対策も必要です。
訃報と葬儀の日時場所の連絡は葬儀に呼ぶ人だけに限定し、それ以外の人物には何も知らせず、訃報の連絡をするのは四十九日が過ぎた後などにしましょう。
招待する人全員に直接電話で葬儀の日程などを伝えることを徹底し、招待した人が他の親戚縁者に連絡ないよう念入りに口止めしておきましょう。
06.安置・枕飾り
安置とは「据え置く」と言う意味があり、日本の法律では死後24時間以内の火葬を禁じているので、故人が他界した後は必ずどこかに遺体を安置しておかなければなりません。
また、仏式で葬儀を執り行う場合は遺体の枕元や側に小さく簡易的な祭壇一式の「枕飾り」を設置します。
自宅安置
病院や施設で死亡した場合に、故人を長年住み慣れた自宅に戻してあげたいという理由から自宅安置を望む遺族が多いのだそうです。
安置する部屋まで遺体を運べるのであれば自宅安置が可能ですが、マンションなどの場合はエレベーターにストレッチャー(担架)が入らない、階段の踊り場で回転できないなど、侵入経路が確保できないことがあります。
賃貸住宅の場合は家主の許可が取れずに自宅安置ができないこともあるので、確認が必要です。
葬儀社や斎場で安置
自宅安置ができない場合や、例えば真夏に火葬場の予約が一週間後になってしまい、何日も自宅安置をしたら遺体が損壊する恐れがあるので斎場の安置室を使う等、何らかの事情で自宅安置ができない場合に使います。
近所に故人の死亡を知られたくない場合にも自宅外施設での安置は使われる方法で、葬儀社や斎場に遺体を預けるので「預かり安置」と言います。
預かり安置は
・故人と面会できる安置
・故人と面会できない安置
・遺族が宿泊して遺体の付き添い可能な「付き添い安置」
の三種類があります。
付き添い安置を選ぶと多くは別途料金が必要になり、安い家族葬パッケージプランは面会不可能な預かり安置、面会可能な預かり安置はよくある家族葬プランに含まれていることが多くなっています。
面会できる場合でも斎場や葬儀社の営業時間などによって故人との面会時間に制限があります。
民間の遺体安置施設(遺体ホテル)
遺体ホテルという言葉自体が曖昧で、葬儀社や斎場の安置室や保冷庫との明確な区別が難しいのが現状ですが、故人が他界したときに自宅安置も葬儀社等の預かり安置もできないときに使用します。
24時間営業や営業時間中はいつでも面会が可能など、面会時間については葬儀社や斎場よりも自由度があります。
07.納棺(と副葬品)
通夜を執り行う前に近親者のみが立ち会い安置されている遺体を棺に移す儀式が納棺です。このときに副葬品も棺の中に入れます。
通夜無し家族葬にする場合は、葬儀告別式の前に行います。
末期の水を取る
末期の水は故人の喉が渇いて苦しまないようにという願いを込めた儀式で、ガーゼを割り箸の先に付け水に浸し、故人の唇を濡らします。
湯灌
故人の体や精神を清める儀式で、現在では二種類の湯灌があります。
主流はアルコール溶液などでの拭き湯灌(清拭)で、遺族が故人の顔・手・足の順番で拭き清めていきます。
洗体湯灌は、安置された部屋に湯灌用の浴槽を持ち込んで行うか湯灌用の施設を使います。家族葬パッケージプランに洗体湯灌は含まれていないので、発注すると結構高い別途追加料金になるでしょう。
死化粧
髪と爪を整え、故人の顔を生前のような姿に整えます。男性の場合は髭を剃り女性は薄化粧を施します。また、頬が窪んでいる場合は含み綿といって口内に綿を含ませたりします。
遺髪の希望があればこの時に切っておきます。
死に装束
死者は浄土に行くという仏教の思想に基づいた儀式で、葬儀社が用意する白一色で統一された和服を故人に着せます。現在では一般的に葬儀社が故人に死装束を着せています。
故人を棺に移す
安置されていた故人を棺に移すときは遺族が故人の頭や足などを持ち、遺体が傷まないようゆっくりと棺の中に移動します。これも今では葬儀社が代行してくれます。
副葬品を収める
故人に手向けるための品物で、火葬炉で焼却しても良い物を棺に入れます。多くは花や故人が生前によく着ていた服や飲食物、故人への手紙や寄せ書きなどです。
ゴルフクラブや釣り竿などのカーボン製品、指輪・眼鏡・腕時計などの金属製品、食品でも水分が多すぎて爆発するか遺体が燃え残る可能性のあるスイカやメロンなどは禁止です。
納棺に関する全ての過程を終えると、棺を通夜会場に移動させます。
08.通夜と通夜振舞い
通夜は古くは夜通しで線香を絶やさないで行う儀式でしたが、今では斎場の営業時間もあるので夕方から夜の間に開始して2~3時間で終了する流れです。宗教手順に則ることもできますし無宗教形式もあります。
現代の家族葬では、通夜をしない場合もあれば通夜を行って通夜振舞いをしない場合もあります。
家族葬の仏教形式の通夜 例
01.参列者受付
02.遺族親族一同・参列者着席
03.僧侶入場・読経開始
04.遺族親族焼香
05.参列者焼香
06.読経終了・僧侶退場
07.喪主の挨拶
08.通夜終了
09.通夜振舞い
10.散会
家族葬の無宗教形式の通夜 例
01.参列者受付
02.遺族親族一同・参列者着席
03.開式の辞
04.故人の紹介
05.黙祷
06.献奏
07.感謝の言葉
08.献花
09.閉式の辞
10.通夜終了
11.通夜振舞い
12.散会
通夜振舞い 例
01.通夜振舞い開式の挨拶
02.会食(会食中は遺族が参列者に挨拶やお酌をします。)
03.閉会の挨拶
通夜振舞いは1~2時間程でお開きにするのが一般的です。
09.葬儀・告別式
葬儀は宗教的儀式で、告別式は社会的儀式です。仏式の場合は葬儀・告別式となりますが、無宗教形式の場合は告別式のみになります。
家族葬 仏教形式の葬儀・告別式 例
01.参列者受付
02.遺族親族一同・参列者着席
03.僧侶入場
04.葬儀開式
05.読経・引導
06.読経・遺族親族焼香(ここまでが葬儀)
07.読経・一般参列者焼香(ここから告別式)
08.僧侶退場
09.弔電
10.喪主挨拶
11.閉式・出棺
家族葬 無宗教形式の「告別式」例
01.参列者受付
02.遺族親族一同着席・参列者着席
03.開式の辞
04.故人の経歴紹介
05.黙祷
06.献奏
07.弔電
08.感謝の言葉
09.献花
10.お別れの言葉
11.閉式・出棺
10.出棺
出棺は棺に入っている故人を火葬場に送る儀式です。祭壇前に置かれていた棺を葬儀会場の中央に移動して蓋を開けるところから儀式が始まります。
別れ花(副葬品)
別れ花は喪主から始まって故人との縁的に近い順から順番に生花を入れていきます。故人の顔周辺から始めて、最終的には故人の顔以外の体全体を覆うように花を入れます。
納棺の時に副葬品を入れましたが、この時にも副葬品を入れることがあります。
釘打ち
別れ花が終わると棺の蓋が閉じられ、遺族親族が棺の蓋に釘を打って固定するのが「釘打ちの儀」ですが、今は遺族親族が釘を打つことは無く、葬儀社が代行してくれます。
出棺
棺はかなり重くなっているので遺族親族6人または8人で棺を持ち上げて霊柩車に運びます。
棺は故人の足側を先頭に移動し、故人の足側から霊柩車に入れます。これは故人が再び家に帰ることが無いようにという意味です。
出発
葬儀告別式に出席した人全員、または一部の故人と縁深い人が各車両に分乗して火葬場に同行します。
一般的には、喪主は霊柩車の助手席、他の遺族と僧侶はハイヤー、親族と一般参列者はマイクロバスです。クラクションを一度鳴らした後に霊柩車が先頭となり火葬場へ出発します。
11.火葬と骨上げ
火葬とは遺体を火葬炉で焼却して残った遺骨を葬る葬法です。日本は大別して火葬と土葬、特別な場合は水葬ができるのですが、実際はほぼ全ての葬儀が火葬と言えるほど主流になっています。
納めの儀
故人・喪主遺族・一般参列者が火葬場に到着し、火葬炉の前に棺と線香台が置かれます。僧侶が読経している間に喪主から始まり故人と縁が深い人から順番に焼香して合掌するのが「納めの儀」になります。
故人との最後のお別れの儀式である納めの儀が終わると、火葬炉に棺が入れられ炉の蓋が閉じられます。火葬の終了までの1~2時間は火葬場内の控室で軽食などを取りながら待機します。
最近は待機時間に本格的な内容の仕出し弁当などを食べて、火葬後の精進落としを省略することもあるようです。
骨上げ
骨上げは、火葬炉から出された遺骨を、故人と縁深い順に二人一組で一つの骨を箸で拾い上げながら骨壺に納めていく儀式です。
全ての遺骨が骨壺に入ると白木の骨箱に入れ、さらに骨覆いという布で覆うと儀式が終了します。
骨上げが終わると火葬場から帰宅、あるいは葬儀会場に戻って初七日法要や精進落としを行います。
12.初七日法要と精進落とし
初七日法要は三種類ありますが今は世相を反映した法要が主流です。初七日法要も精進落としも、かっちり執り行う家族葬もあれば割愛する場合もあります。
初七日法要
今の初七日法要は
1.火葬場から戻って行う「繰り上げ初七日法要」
2.葬儀・告別式に続けて初七日法要を行う「繰り込み初七日法要」
3.昔と同じように、死亡日を第一日と数えて七日後に行う「本来の初七日法要」
の三種類があります。
現代は葬儀後数日経過してから再び集合するのも難しい時代を反映して、多くが繰り上げ初七日でたまに繰り込み初七日、地方によっては行われることもあるのが本来の初七日だそうです。
火葬後、斎場内の会食室などで行われる初七日法要の流れ例は
01.僧侶入場
02.開始の喪主挨拶
03.読経・焼香
04.僧侶退場
05.終了の喪主挨拶
06.精進落とし
のような順番です。
葬儀告別式に続けて行う繰り込み初七日法要の場合、告別式と連続しているので初七日法要を行ったことがわからないかもしれません。
精進落とし
遺族が葬儀後に参列者や僧侶を労う為に用意する食事が「精進落とし」です。元々は四十九日の忌明けに食べる料理の名称でしたが、これも世相を反映して葬儀告別式の日に行われることが殆んどです。
通夜振舞いとは違い精進落としに出席する人と人数はわかっているので、僧侶が最上座で喪主が最下座など席順が決められます。食事は豪華な膳が多く、祝いを連想する鯛や伊勢海老は避けられます。
精進落としの進行例は
01.精進落し開始の挨拶
02.献杯
03.食事開始
(遺族はお礼の言葉を掛けながら酌などをして僧侶や参列者を回ります。)
04.精進落し終了の挨拶
05.散会
こんな感じです。
13.後飾り
葬儀場あるいは火葬場から帰宅した遺骨は白木位牌やその他の仏具と共に、四十九日まで二または三段の簡易的な祭壇に置かれます。
仏式三段の例としては
上段:遺影(左側)と遺骨(右側)
中断:中央に白木位牌
下段:数種類の仏具一式
これらは家族葬プランに含まれていることが多いので、祭壇も仏具も葬儀社が用意してくれます。最近は段ボールでできた祭壇に白い布を被せるようになっているので不要になったら自分で捨てることもできます。
家族葬の流れまとめ
家族葬の流れを簡素に淡々と書いていくつもりでしたが、管理人がイヤな葬儀社に出くわした経験から、悪い葬儀社に引っかからないようにという意味合いの記事に文字を多く捌いてしまいました、すみません。
参列者を極近い身内に絞ることができるので、一般的な葬儀のように多数の「お客様」に気を遣うことなく、気兼ねなく執り行える現代的な葬儀ということもあって、式の流れ自体は基本的に自由です。
宗教形式に則った場合でも菩提寺の許可があれば通夜を割愛できる、無宗教形式にすれば葬儀の流れも内容も自由など、通常の葬儀の流れにこだわらなくても良い部分があります。
ですが、現代的な家族葬と言えど、あまりにも自由な流れにしてしまうと参列者を戸惑わせてしまうだけの葬儀になりかねません。かなり自由な流れにしたい場合は葬儀社や遺族親族ともよく相談すべきです。
ここに書いた家族葬の流れはあくまで基本的なもので、宗教宗派や地域などによって大きく違うかもしれませんので、わからないことがあれば葬儀社に聞いてみましょう。
家族葬の大まかな把握ができれば葬儀当日に迷うことも少なくなるでと思います。故人・遺族や参列者の為に良き葬儀を。