家族葬の費用はどのくらいなの?葬儀費用を抑える技も解説

家族葬は少人数で費用を抑えた葬儀です

家族葬は、故人の家族や親族だけが参列するのが基本で、他に故人とかなり親しかった限られた友人知人が参列する小規模かつ自由な形態の葬儀です。
参列者は最低一人から30人までの間が多く、多人数であったとしても参列者は50人程度までの葬儀になります。
参列者が多い一般的な葬儀と同様に、基本的には通夜・通夜振舞い、葬儀・告別式、火葬、精進落としなどが執り行われるのですが、家族葬の場合は一般的な葬儀にとらわれない葬儀も可能です。
例えば参列者が一緒に住んでいた家族だけの場合などは通夜を割愛しても大丈夫ですし、僧侶を呼ばずに葬儀を行っても構いません、故人や家族の希望で様々な形式を選べます。

参列者の人数を減らし近親者のみで行う葬儀なので葬儀費用の縮小も叶えられ、多数の参列者の接待に追われることも無いのでゆっくりと故人を見送ることができることが、家族葬が選ばれる理由です。
「一般的なかっちりした形式が存在しない小規模葬儀」が家族葬とも言えるのです。最近では大規模な葬儀を避けることが増加傾向になっていることから、家族葬を選ぶ人が多くなっています。

家族葬の三大費用とは

まず葬儀費用と言うと「葬儀が始まってから終わりまでに必要な費用」という曖昧な感じがありますが、実は
1.葬儀一式の費用
2.飲食・返礼品費
3.宗教者の費用(お布施)
に分かれます。
葬儀業者(葬儀社)の宣伝などを見るとよく「葬儀一式費用〇〇万〇千円」とか「小規模葬儀〇万〇千円から」などと書かれていますが、これは飲食・返礼品・お布施のお金を含まない料金なのです。
「飲食・返礼品」と「お布施の」の費用は別々に計算されるのです。

少し脱線しますが、ややこしいのは、上記1.2.3.の料金をそれぞれ、1.葬儀社、2.仕出し業者や返礼品業者、3.お坊さん、に分けて支払うことはほとんどありません。
上記1.と2.を葬儀社に支払って3.を僧侶や寺院に支払うこともあれば、1~3全部を葬儀社に支払うこもあります。

また、家族葬は自由な形式なので香典返しの労力を削減する目的で参列者からの香典を辞退することも多々あります。
家族葬であっても、比較的参列者多く葬儀の規模が大きくなったり、祭壇や棺などを豪華なものにするなどで、葬儀費用が大きくなるにも関わらず香典を辞退すると、持ち出し金額が大きくなることもあります。

じゃぁ、飲食・返礼品・お布施も含んだ家族葬の費用はいくらなの?と聞かれそうですが、答えは「葬儀の規模や参列者の人数、飲食・返礼品・お布施に使うお金次第」つまり人それぞれになってしまうのです。
こんな曖昧な回答を書いているのでは申し訳ないので、ここからは家族葬費用の細かい内訳や葬儀費用の節約方法を地味に書いていきますので、ご安心ください。

1.家族葬の葬儀一式費用(葬儀本体費用)

亡くなった病院へ故人を迎えに行き搬送する費用、安置、通夜、葬儀・告別式、火葬、骨上げと続く葬儀全般を運営するために必要な物や手続き、場所代、式場飾り付けなどの労務費です。
葬儀一式費用は、通夜振舞いと精進落としなどの飲食費用、香典返しなどの返礼品費用など、参列者の増減にほぼ比例する変動費と、僧侶寺院に支払うお布施が含まれていません。
葬儀業者によって呼称がいろいろありますが、「葬儀費用」や「葬儀基本プラン」とも言いまして、葬儀一式費用をざっくり細分化すると以下のような費用に分類されます。

逝去当日(通夜前日)

寝台車(遺体搬送費用)
枕飾り
ドライアイス
死化粧
霊安室安置料
お棺
役所への死亡届手続き代行
斎場や火葬場利用の手続き代行

通夜日

式場使用料
祭壇料金
仮位牌(白木位牌)
遺影写真
受付・焼香具等
会葬礼状

葬儀告別式・火葬

骨壺
霊柩車
バス・ハイヤー・タクシー等
火葬料(待合室使用料含む)

その他

葬儀社の人件費

このようにいろいろありますが、これでも大分端折っています。しつこくなりますが葬儀社が出している「家族葬〇〇万円プラン」は上記「だけ」の料金なのです。
よく「葬儀は100万円以上かかる」と言われますが、葬儀社の(葬儀費用だけを提示した)プランが100万円を切っているからと言って安易に契約すべきではありません。
飲食接待費とお布施(主に読経料と戒名料の合計)を加算するとかなりの金額になります。
また例えば、50万円の比較的安価な家族葬プランで始まった話が、祭壇幅を大きくして、生花祭壇にして、棺を船型にして…としているうちにかなり高額になることはよくある話です。

2.飲食接待・返礼品費用

飲食費・返礼品費用は一人当たりの金額を決めるので、実質「変動費」になります。選ぶ食事内容や返礼品の単価と参列者の人数によっては、葬儀一式費用を超えることもあり得ます。

通夜振る舞い

通夜振舞いは、通夜の後に参列者に振舞う食事で、内容は人数分の軽食や寿司、他に大皿の煮物やオードブルなどです。一人につき2,000円〜3,000円程度が相場でしょう。

精進落とし

火葬・骨上げが終わった後に参列者に振る舞う食事が精進落としで、通夜振舞いよりも格上の和食になります。一人につき4,000円~5,000円程度が大体の相場でしょう。

会葬返礼品

通夜や葬儀の参列者に対する返礼品で、一人当たり500円~1,000円の、ハンカチやお茶などが一般的です。

香典返し

香典返しは頂いた香典金額の(個別に)半分~3分の1の金額で、不幸が生じたことによる贈り物なので、後に残らないようにという意味から飲食料品や調味料、消耗品が多数となります。

通夜参列者に一律の品物で香典返しをする「当日返し」の場合、頂いた香典額に対して当日返しの香典返しの品物の金額が見合わない場合があります。
この場合は四十九日後の「後返し」を送付することで見合う形を取ります。

家族葬の飲食返礼品費を仮定してみた

いろいろ書きましたが、家族葬の通夜に20人が参列、火葬・骨上げに15人が参列した場合
通夜振舞いの一人当たり単価を2,000円とするなら 2,000円×20人=40,000円
階層返礼品の一人当たりの単価が1,000円であれば 1,000円×20人=20,000円
当日返しの香典返しを一人当たり3,000円として 3,000円×20人=60,000円
通夜に対する変動費だけで12万円の費用が必要です。

火葬・骨上げ後の精進落としの和食の一人当たり単価が5,000円として、5,000円×15人=75,000円

通夜120,000円 + 火葬・骨上げ75,000円=195,000円が飲食接待・返礼品費用(葬儀の変動費用部分)になるのです。

3.宗教者費用(お布施)

一番ややこしいかもしれないのがこのお布施で、内訳的には「読経料」と「戒名料」なのですが、この二つの言葉は禁句としている寺院が多いので二つまとめて「お布施」と呼称します。
お布施の金額は明確に決まっていないという前提があるのに実際は相場が存在し、相場の金額よりも少額だと受け取らないという矛盾があるのがお布施でもあるのです。

読経料

通夜と葬儀で読経(お勤め)して頂いたお坊さんにお布施の金額を聞いてみたら「お気持ちで結構です」と返答されたので、5万円を包んだら「(この金額では)受け取れません」と言われたという話もあります。
実際の読経料の相場は関東と何故か東北が30万円前後で、その他の地方では22万円~28万円あたりまでいろいろな相場があるそうです。
とは言えお坊さんが金額を教えてくれないのにどうやって(禁句ですが)読経料を知るのかというと、葬儀社の担当者に聞けばほぼ確実な金額を教えてくれます。

戒名料

これは戒名の階級によって金額がほぼ明確に区分けされていまして、代表的な例を挙げると
「信士・信女」30~40万円
「居士・大姉」50~70万円
「院信士・院信女」70万円~100万円
のようになりますがこれはかなり極端な例で、実際は読経料同様に葬儀社の担当者に聞いてみるのが一番良いと思われます。

香典は期待できない

先に香典を頂いた場合の返礼品費について書いていますが、家族葬は故人とのお別れに時間を割き、多数の弔問客への接待を極力縮小するという面もあります。
家族葬は基本的には故人の友人や趣味の仲間、会社関係や隣近所の方々などの弔問も香典も遠慮するのが通例なので、一般的な葬儀より弔問客が少なく香典による収入をあまり期待できません。
また家族葬は自由度が高いことから、香典を断る代わりに香典返しをしない選択をする場合もあるので、頂いた香典で葬儀費用を軽減させることは難しくなるでしょう。

 

葬儀費用を安く抑える技六選

家族葬の費用を香典で抑えることが難しいのであっても、葬儀費用を軽減させる方法はあります。ここでは大きく六種類の家族葬費用の軽減方法を紹介します。

1.複数の葬儀社から見積もりを取る

遺族が複数社の葬儀の見積もりを取るというと他の親族からお金に汚いような目で見られがちですが、気にしないでください。
業者と話しながら見積もりを作成する時間は1~2時間でしょう。
その1社1~2時間程でもしかしたら100万円以上のお金が動く「葬儀社の営業職の営業成績」の時間であり、「商談」の時間であることを忘れてはいけません。
貧相な葬儀にしないことも大切ですが、まず先に過大な費用を抑えることも考えながらこの商談を乗り越えましょう。

本題に戻って、家族葬の見積もりを作るとき、できるなら1社について
1.葬儀社が提案する家族葬に完全に従う形
2.上記1.から様々なものを格下げしたり参列者人数を少なく想定した形
3.通夜をやらない(一日葬にする)
これらの見積もりを取っておくと良いでしょう。
1社について3種類も取ることになるのはおかしいと思われそうですが、葬儀とは言えもしかしたら100万円場合によっては150万円以上もする「買い物」です。
例えば保険は10年で何百万も支払う高額商品で、複数社から複数種類の見積もりを取るのは当たり前なのに、葬儀の見積もりの比較をしない方が今の時代は後悔しやすいのではないでしょうか。

大分長くなりましたが、最後に「必要なものですから」と言ってガンガン加算していく業者は注意が必要です、と書いておきます。

2.通夜をやらない

通夜を省略すると、細かいことを言えば家族葬ではなく「一日葬」という形態になります。今までの葬儀の形からすれば葬儀をたった一日で済ますというのは外聞的に良くないかもしれません。
ですが通夜が無いことで通夜振舞いも割愛されるので葬儀費用は大分抑えることができます。
また、家族親族に高齢者が多い場合や持病などで通夜の時間を乗り切るには体力的に大変な方が多い場合などはむしろ受け入れやすいとも言える葬儀形態です。

3.小規模、一段階下にする

参列者は同居していた家族と、故人の親兄弟だけなどごく近しい親族だけに絞る
業者の勧める祭壇より一段階下の祭壇にしてみる。究極は祭壇を使用しない
棺も豪華にしない

4.無宗教葬にする

実は喪燈弥(このブログの管理人)の母の葬儀と父の葬儀両方で無宗教葬にしました。
私が30代前半の時の母の葬儀では、母が死んだからと言って見慣れない長い名前を付ける意味が全く理解できず、妹たちの意見も聞いたところ、同意見だったのです。
父にも意見を求めましたが、喪主である喪燈弥に任すということで、仮位牌には「不時田 喪燈子(ブログ上の仮名です)」と書いてもらい、お坊さんは呼ばずに葬儀を挙げました。
結果、読経料も戒名料も発生しなかったので、際限なく弔問客を呼ぶ一般的な葬儀ではあったものの、葬儀社の人に「この規模でこの金額に収めたのは凄いです」と言われました。

5.斎場と火葬場を公営にして費用節約

斎場と火葬場の料金は民営よりも公営の方が安く、公営の火葬場の場合は斎場も同じ敷地内に併設されていることがあります。

民営斎場(例)
10万円程度から30万円以上など、斎場建物の新しさ古さや使用する部屋の大きさなどで金額も多種多様

公営斎場(例)
故人または喪主の居住地が斎場の所在する地区町村と同一地区の場合 一律 6万円 それ以外は一律 18万円など。

民営火葬場(例)
普通:約6万円 上:約10万円 最上:約18万円 などの段階があります。

公営火葬場(例)
故人または喪主の居住地が斎場の所在する地区町村と同一地区の場合 一律 4万円 それ以外は一律8万円など。

公営民営に限らず、斎場と火葬場が同一敷地内にあるいは建物がつながっている場合、斎場から火葬場に移る際に徒歩で移動できるため、霊柩車やマイクロバスなどの料金が発生しないという利点があります。

6.飲食・返礼品単価を抑える

大分前で書きましたが、飲食返礼品の金額は一人当たりの単価と人数で決まる掛け算、つまり「変動費」なのです。
ということで、(この章で書いた)通夜をやらない・小規模にする、これ以外の方法があるとすれば、飲食返礼品の一人当たり単価を下げることが最適となるでしょう。
ですが、あまりにも安すぎて参列頂いた方々に失礼にならないよう、配慮する必要があります。どの程度まで単価を下げても良いのかわからない場合は葬儀社の担当者に聞いてみましょう。

ブログ管理人(喪燈弥)の経験談の場合、四十九日が過ぎてからの後返しでした。葬儀が終わってから数件のギフトサービス会社で見積もりを取ったのですが、金額の割には安っぽい感じが嫌でした。
そこでデパートの外商に見積もりを取ったところ、ギフトサービス会社よりも金額的には割弱高くなりましたが、デパートの格式があること品物が金額に見合う気がしたので、実際の依頼となりました。
百貨店推しでは無いですが、発送者(参列者)一覧の作成から品物選び、発送まで凄い安心感があってよかったですよ。

家族葬のメリット

家族葬の費用について書いてきましたが、最後に家族葬のメリットデメリットも書いておきましょう。

参列者をあまり呼ばない葬儀なので、式当日の遺族の精神・体力的な負担が少なくできる。
小規模で自由度が高い葬儀なので、故人や遺族の意向に沿った形式にできる。
参列者を絞るので接待に時間を割かれることが無く、ゆっくりと故人とのお別れができる。
家族葬は小規模葬儀ともいえるので、葬儀費用が安く済む場合もあります。

家族葬のデメリット

訃報を知った人が葬儀後に自宅にお参りに来ることがある。
参列者を少数に絞る場合は、葬儀に呼ばないが今後も関係が続く人たちへの、葬儀前後のしっかりした連絡や対応が必要になります。
「何故葬儀に呼んでくれなかったのか」と文句を言われることも。
葬儀後に文句を言われたりお参り客が来るのなら、多人数を呼ぶ一般的な葬儀にすればよかったと後悔する。
たまたま(高額な)民営斎場民営火葬場しか取れなくて予想より高額になる場合があります。
小規模な家族葬のはずが、格上の祭壇にしたり戒名を行為にしたりなどで、総合的な費用負担が大きくなる場合もあります。

 

こういったメリットデメリットを書いても正直いろいろな不安もあったり参列者の範囲の選定などわからないことも多くなると思います。
そんな時は見積もりの段階で葬儀社にいろいろ聞いてみると参考意見が出てくると思います。