家族葬の範囲はどこまでの参列者を呼ぶべきでしょうか

家族葬の範囲に決まりはありません

家族葬に招待する人の範囲は明確な決まりや定義がありません
多くは故人の遺族親族以外に、付き合いのある遠縁の親族、故人が世話になっていた知人も参列者して呼んでいます。
よって実際の家族葬の範囲は、故人の生前の付き合いと、葬儀を執り行う喪主遺族の判断次第と言えるでしょう。

そもそも家族葬とは

家族葬は参列者の範囲も葬儀の内容も明確な定義は無いものの、基本的には少人数での葬儀なので参列者を接待をする手間が無いか少なくて済み、余裕を持ってゆっくり故人とお別れできるメリットがあります。
葬儀の内容や流れは一般的な葬儀と同じで
●一日目:納棺、通夜・通夜振舞い
●二日目:葬儀・告別式、火葬・骨上げ、精進落とし
といった流れです。

また家族葬は、範囲を絞り込むことなく多数の参列者を呼んで大規模に執り行う一般葬とは違い、喪主遺族側で選んだ参列者だけで行う葬儀でとも言えるので、葬儀内容を自由にできます。
・参列者は近い身内に絞りたい
・元々葬儀に呼べる人は少ない
無宗教葬生演奏など、故人や遺族の希望を反映させたい
このような方に向いています。

遺族・親族の範囲を紹介

家族葬に参列者を招待するにも、「遺族」と「親族」「親戚」の線引きが分かっていないとややこしいと思うので、まず先に書いておきます。

遺族とは

遺族の厳密な範囲は、故人の両親、配偶者、子、兄弟姉妹ですがここまで厳密である必要は無く、現在は一般的に
・故人と一緒に生活していた人
・故人と一緒に生計を立てていた人
という範囲を指します。

親族とは

親族は民法で決められている範囲があります。
●配偶者
●六親等以内の血族(血族:故人の、子・親・兄弟姉妹など)
●三親等以内の姻族(姻族:配偶者の、親・祖父母・兄弟姉妹など)

親戚とは

親戚を簡単に言うと「血族と姻族全員」ですが、今でも付き合いが続いている六親等以内の血族や、三親等以内の姻族の範囲を超えた、広い範囲も含めます。

人数別の家族葬の範囲を5例紹介

実際の家族葬では参列者が一人だけということもあるそうですが、実際の参列者の人数は様々なので、ざっくり人数別に家族葬に呼ぶ範囲を解説します。

1~5名の場合

参列者一人だけの家族葬の場合、同居していた配偶者のみが参列、あるいは故人の子一人だけが参列ということもあります。

2人~5人の参列者の場合は故人の配偶者と子だけ、ということが多いようです。
参列者が大分少ないので時間が余るような気分になるかもしれませんが、その代わり故人とのお別れの時間がより長く取れます。

5~10人の場合

家族葬で5~10人の参場合、主な参列者は故人と同居していた遺族と故人と別世帯の子と孫などで10人前後で、遺族と近しい血族のみと言ったところでしょう。

参列者10名近くとある程度の人数ではありますが、この場合は故人に近い身内だけが揃うので一般参列者不在の葬儀となり、見知らぬあるいは滅多に会わない人への対応や接待をすることはありません。
近しい身内だけでゆっくり故人を見送るという、家族葬本来の目的が叶う葬儀になります。

11~20名の場合

家族葬も参列者が11~20名になると大分賑やかになります。故人と生活をしていた、あるいは生計を一にしていた遺族の外に親族も多数が招待されるでしょう。
この人数はある意味で「接待がほぼ必要ない家族葬」と「接待が必要な家族葬」の分かれ目かもしれません。

接待がほぼ必要無い家族葬

先の5~10名以外に
・故人の兄弟姉妹とその配偶者
・故人の伯父伯母(叔父叔母)
などが参列者に加わります。この場合は少し気兼ねあるかもしれませんが、接待は無くゆっくり執り行える家族葬と言えるでしょう。

接待が必要になりそうな家族葬

20名以内と言っても遺族と主だった親族以外に
・故人の従姉弟
・故人の旧友
・故人が生前に世話になった人物
などを招待することもあるので、それらの参列者や遠縁の親戚への接待が生じるでしょう

21~30名の場合

家族葬30人近くになると先に書いた11~20名の場合に、さらに加えられる参列者は
・故人の仕事関係者
・故人の趣味やサークル関係の人
・その他。
となるかもしれません。かなりの人数で参列者の構成も様々です。
一般参列者が多くなり、喪主遺族は一般参列者への接待などに多くの時間を割くことになるので「ゆっくり故人とお別れをする」という家族葬の目的とは大分違う葬儀になるでしょう。

30名超になると

30名を超える家族葬は身内の数を一般参列者が超えるようになり、故人とゆっくりお別れどころではなくなることもあるので、家族葬として成り立たないように思えます。
ですが
・遺族親族がとても多い場合もある
・公正取引委員会の50名暫定基準がある
・喪主遺族が参列者を選んで招待していれば家族葬
このようなことから、30名超でも、50人以下で参列者を家族葬の主催者側が選んでいるのであれば、ぱっと見一般葬に見えますがなんとか家族葬の体を成していると言えるのではないでしょうか。

その他の範囲と参列者の決め方6例

〇〇親等までなど、ある意味機械的に参列者の範囲決めをする方法もありますが、その他の要素もあるのでここで紹介します。

1.故人の意思を優先する

まずは葬儀について具体的な遺言があるか確認しましょう。また故人が生前に葬儀の参列者などについて発言していた内容などを思い出してみましょう。

2.故人が最後に会いたいと思うか考えてみる

故人が最後に会いたいか、最後に故人に会ってもらいたいか。
これは葬儀参列の声掛けをすべきかどうか迷った人を絞り込む場合にも使えます。

3.今後の関係性を考慮する

例えば遠縁や配偶者側の血縁を呼ばないと決めても、配偶者の従姉弟が近所に住んでいて普段から付き合いがある場合など、今後の付き合いを考えればその人を呼ばない訳にはいかないでしょう。

4.葬儀費用の変動費を計算して決める

葬儀に費せる予算の中から、逆算的に葬儀に呼べる人数を決めることができます。
葬儀の総額は大まかに「葬儀プランの費用」「飲食返礼品費(変動費)」「(読経や戒名など)宗教費用」の三種類で構成されます。
このうち飲食返礼品費に充てる予算を一人当たりの予定単価で割って、家族葬に招待する人数を決めることができます。

5.理想的な参列人数を基に考える

葬儀費用から最大限の人数を割り出すのではなく、理想的な参列者数、例えば参列者10名だと少し寂しいから15人にしたい、あるいは接待をしないギリギリの人数で20人にしたい、等を考えます。
理想的と言うより直感で参列者数を決めることになりますが、この決め方も案外有効です。

6.使用する会場の大きさを基に決定する

例えば故人がお世話になっていた菩提寺での葬儀を希望していた場合など、お寺に入ることができる人数によって家族葬に呼ぶことができる人数もその範囲も変わります。
また、自宅で家族葬を営む場合もあれば斎場で使用できる部屋の大きさなど、使用する会場の大きさや規模が、家族葬に参列する人の範囲を決める重要なな要素になります。

葬儀に呼ばない人とのトラブルを避ける方法

家族葬の参列を断るまたは葬儀の連絡をしない理由を明確にしておくことは、葬儀後の苦情や葬儀後の自宅への弔問の防止の為の必須事項と言えます。

招待しない人からの苦情対策を講じておく

1.家族葬形式を選び参列者の範囲を決めた理由を明確にする
2.参列者を、喪主だけではなく親族の意見も参考にして決める
3.故人の遺志によって家族葬にしたと言い張る
4.今後も付き合いが続く人物であれば招待する
この四種の対策が有効です。

訃報を知らせる人を分類する

訃報を知らせる人は
・葬儀の参列をお願いする人
・葬儀に逝去を知らせる人
に分類しておくと良いでしょう。もう一つ
・逝去を知らせて葬儀には招待しない人
の分類も必要かもしれません。

電話連絡が有効

電話は葬儀に招く人に確実な口止めをする為に有効です。
メールやSNSを使って招待したことで葬儀日程などが簡単に拡散し、招待しない人が葬儀に押し掛けることを避けましょう。

訃報だけを知らせる人への対策

参列は断るものの訃報だけは知らせる人について、葬儀の日時場所を知らせないことは礼節を欠くかもしれませんが、故人の遺志遺族の協議といった参列辞退の判断材料があると、参列を断られた人も納得しやすくなるでしょう。

葬儀の連絡はせず後に訃報を知らせる場合

葬儀後に逝去を知らせる人については、初七日から四十九日あたりまでに電話・はがき・メールなどを使って知らせると良いでしょう。家族葬で済ませたこと伝え、葬儀後に訃報を知らせたことへのお詫びもしておきます。

家族葬の範囲まとめ

元々家族葬に決まりきった形は無いので、参列者の範囲の基準もありません。
ですが
・血族を中心にかっちりした、あるいはざっくりした範囲にする
・理想的な人数や予算、葬儀の内容、直感などから逆算的に決める
・今後の親戚付き合いなどを考慮する
など、家族葬でどこまで呼ぶかという参列者の範囲には様々な決定要素があります。

家族葬に呼ばなかった親類などからの苦情や批判を避けるためにも、できる限り明確な基準を設定しておくとよいでしょう。

最悪、故人の遺志により決定したと言い張るという手段もありますが、困ったときは葬儀社にアドバイスしてもらうのもいいかもしれません。
まずは葬儀社の資料を集めるなどして、故人も遺族も満足できる「良き葬儀」ができるといいですね。